The Most Innovative Companies 2020: The Serial Innovation Imperative

連続してイノベーションを起こし続ける企業は危機から力強く回復~BCGイノベーション調査2020

新しい環境に向け、日本企業はイノベーションの戦略と仕組みの刷新が急務

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【参考資料】

(本資料は、2020年6月22日に米国で発表されたプレスリリースの抄訳です)

ボストン発、2020年6月22日 ―― 経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、イノベーションに関する調査レポートの最新版、「The Most Innovative Companies 2020: The Serial Innovation Imperative」(以下、レポート)を発表しました。2005年に初めて発表されたこの調査は、今年で14回目となります。

危機の時こそ、イノベーションが企業の差をつける

過去の危機を振り返ると、大恐慌から金融危機まで、イノベーションに強い企業は危機に素早く対応し、新しい価値を生み出すことで、危機から力強く回復しています。たとえば、2008年から2009年の金融危機を振り返ると、2007年のBCGイノベーション企業ランキングのトップ50に入った上場企業の2007年末から2019年末までの年平均TSR(株主総利回り)は、市場全体(MSCI Worldインデックス)を5.6%上回りました。

新型コロナウイルスの影響で事業前提が大きく変わり、新たな制約条件が生まれている現在、企業は過去の危機と同様の状況にあるといえます。レポートの共著者でBCGボストン・オフィスのマネージング・ディレクター&シニア・パートナー、マイケル・リンゲルは「今日の非常に変化の激しい環境では、繰り返し迅速にイノベーションを起こす能力が決定的な競合優位性をもたらします」と述べています。

一方で、連続してイノベーションを起こすことは容易ではありません。14回を数えるこの調査で、ランキング上位50社に毎回ランクインしている企業はわずか8企業です。

連続してイノベーションを起こし続けるには、明確なイノベーション戦略とそれをサポートするバランスの取れた投資、規模のメリットの活用や、業界の枠にとらわれず、イノベーションの機会を機動的に捉える仕組みを備えていることが必要である、とレポートでは指摘しています。

イノベーションを優先課題とし、積極的に投資をしている企業は大きなリターンを得ている

イノベーションを経営の優先課題の上位3位以内とした企業は66%に上りましたが、イノベーションを優先課題とみなすだけでなく、売上高に占めるイノベーションへの投資の比率(イノベーションインプット)が業界の中央値を超える企業は全体の45%に過ぎません。これらの企業のうち約60%で、過去3年間に市場投入された製品やサービスの売上高比率(イノベーションアウトプット)が上昇しています。

業界をまたぐイノベーターが増加

シニア・リーダーに、自身の業界で最もイノベーションに優れていると考える企業を聞いたところ、今回の調査では、医療業界でAmazonが、金融サービスでAlibabaが挙げられるなど、伝統的には違った業界に属する企業をリーディングイノベーターとして挙げた回答者が大幅に増えています。ソフトウェアやサービスなど、一部の企業はこれまでもさまざまな業界で業界構造の刷新を繰り返してきましたが、すべての産業がある程度テクノロジー産業になりつつある現在の世界では、この種のイノベーションの重要性はますます高まっています。

企業の規模はイノベーションの障害にはならない

レポートでは、過去3年以内に市場投入された製品・サービスの売上高が売上高全体に占める比率(イノベーションアウトプット)を、イノベーション力を表す指標の一つと考え、詳細調査の対象企業1,000社以上に対し、この数値を軸とした分析を行いました。大企業はイノベーションが苦手と捉えられがちですが、企業規模ごとに分析すると、売上高10億ドル以上の大企業でもイノベーションアウトプットが業界の中央値を超える企業の割合は40%以上で、中小企業の5割前後という数値との差異は限定的でした。

日本企業のイノベーションの優先度は他国に比べて低く、仕組みも未成熟
イノベーションアウトプットが同業他社の中央値よりも大きい企業は、日本では調査対象企業の44%であり、これはアメリカや中国と同程度の高い値です。
一方で、イノベーションを優先課題とし、実際に積極的に投資している企業の割合はグローバル平均よりも低いことが分かりました。さらに、イノベーションの仕組みの成熟度もグローバル平均よりも低く、特に、「人材の確保」と「プロジェクト管理」におけるギャップが大きいことが分かりました。今後、日本企業がイノベーションを通じて変化を乗り越え、勝ち残っていくためには、経営におけるイノベーションの戦略と仕組みを大きく変革していくことが求められます。

最もイノベーションに優れた企業: イノベーション企業ランキング 50社

レポートには、イノベーションに関わるシニア・リーダー2,500名以上から回答を得たアンケート調査の結果やTSRなどを基に、イノベーションに優れた企業を選出した「イノベーション企業ランキング トップ50」を掲載しています。日本企業では、9位にソニー、29位に日立製作所、41位にトヨタ自動車と計3社がランクインしています(図表)。

調査レポート 「The Most Innovative Companies 2020: The Serial Innovation Imperative」

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調査概要

世界各国の広範な業種の経営幹部を対象に、イノベーションに優れた企業や自社のイノベーションへの取り組みについて訊ねた調査。BCGが初めてこの調査を実施したのは2004年、以降14回目の調査となる今回は2019年8月から10月に行い、約2,500名から回答を得ている。うち1000名以上にイノベーションの仕組みやパフォーマンス、リソース配分などについてのより詳細な調査を実施した。
企業のパフォーマンスを以下の4つの項目で評価し、スコアの平均を取った。今回の調査では、これまでの基準に加え、それぞれの企業の多様性と産業の垣根を超えて活動する力を把握するために、異業種からの投票について多様性指数(ハーフィンダール・ハーシュマン指数)を算出し、測定した。

  1. 全回答者からの得票数
  2. 自社の業界からの得票数
  3. 異業種からの得票の多様性指数(ハーフィンダール・ハーシュマン指数)
  4. 2017年1月から2019年12月までの3年間のTSR(自社株買いを含む)

■ 日本における担当者
加来 一郎 マネージング・ディレクター & シニア・パートナー
BCGコーポレート・ファイナンス&ストラテジー・グループの日本リーダー、およびプリンシパルインベスター&プライベートエクイティ・グループのアジア・パシフィック地区リーダー。
慶應義塾大学経済学部卒業。住友商事株式会社、外資系コンサルティングファーム、PEファンドを経て現在に至る。

■ 本件に関するお問い合わせ ボストン コンサルティング グループ マーケティング 直江・嶋津・福井
Tel: 03-6387-7000 / Fax: 03-6387-0333 / Mail: press.relations@bcg.com

ボストン コンサルティング グループ(BCG)

BCGは、ビジネスや社会のリーダーとともに戦略課題の解決や成長機会の実現に取り組んでいます。BCGは1963年に戦略コンサルティングのパイオニアとして創設されました。今日私たちは、クライアントとの緊密な協働を通じてすべてのステークホルダーに利益をもたらすことをめざす変革アプローチにより、組織力の向上、持続的な競争優位性構築、社会への貢献を後押ししています。

BCGのグローバルで多様性に富むチームは、産業や経営トピックに関する深い専門知識と、現状を問い直し企業変革を促進するためのさまざまな洞察を基にクライアントを支援しています。最先端のマネジメントコンサルティング、テクノロジーとデザイン、デジタルベンチャーなどの機能によりソリューションを提供します。経営トップから現場に至るまで、BCGならではの協働を通じ、組織に大きなインパクトを生み出すとともにより良き社会をつくるお手伝いをしています。

日本では、1966年に世界第2の拠点として東京に、2003年に名古屋、2020年に大阪、京都、2022年には福岡にオフィスを設立しました。