女性は具体的な施策が有効と考える一方、男性は女性の活躍推進のための戦略構築や目標設定などが有効であると考える傾向
経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、日本企業における女性の活躍推進に関するレポート 『女性の活躍推進を日本企業で達成するには』を発表しました。本レポートでは、日本において女性活躍が進みにくい3つの理由、そして日本企業が女性の活躍推進を実現するための4つのステップについてまとめています。
(英文レポート ”Achieving Corporate Gender Diversity―Even in Japan”、2017年12月1日追記)
女性の活躍推進のための施策について、女性は具体的な施策が有効と考える一方、男性は女性の活躍推進のための戦略構築や目標設定などが有効であると考える傾向があり、違いが明らかに
この調査では、日本において2,600人以上の従業員へのアンケート及び20社を超える先進企業の経営陣に対するインタビューを、2017年2~4月に実施しました。その結果、「女性の活躍推進に有効である」と思っている取り組みが、女性マネジャーとその大半が男性であるシニアマネジャーとでは、大きく異なることが明らかになりました(図表1)。

日本において女性活躍が進みにくい3つの理由
日本の女性管理職・役員の割合は、世界と比較して非常に低水準です(図表2、3)。

本レポートではこの背景に以下の3つの要素があると分析しています。
- 家庭や学校における男女別の役割の固定概念の植え付け
- 女性総合職の候補者不足 ●就職・採用時の総合職と一般職の区分 ●総合職候補となり得る上位大学での女子学生の少なさ(日本の上位大学における女性比率は約20~35%、理系学部においては約15~25%だが、欧米の上位大学では学部を問わず男女比はほぼ半々)
- 入社後のキャリアでの壁 ●仕事と家庭のバランスを取ることが困難 ●労働市場が流動性に乏しく、キャリアを中断すると復帰が困難

日本企業が女性の活躍推進を実現するための4つのステップ
女性の活躍推進に成功している先進企業へのインタビューなどを通じ、女性の活躍推進には以下の4つのステップが必要であることがわかりました。
- 女性の活躍推進の本質的な必要性を理解し、経営トップ主導で取り組む
- 本当に必要な施策を抽出し、効果を最大化する
- 男女の区別なく、社員のマインドセットを刷新する
- すべての社員にとって有益な環境をつくるための「働き方改革」を実現する
「今後、女性の活躍に真剣に取り組む企業は競争優位性を得ることができる一方で、真剣に取り組まない組織は、ますます人材の獲得・リテンションが難しくなり、勝ち残っていくのは難しいでしょう」と、本レポートの共著者であるBCG東京オフィスのシニア・パートナー、津坂美樹はコメントしています。
■レポート
英文: ”Achieving Corporate Gender Diversity―Even in Japan”
■共著者
津坂 美樹 シニア・パートナー&マネージング・ディレクター
本レポートの共著者の1人。BCGチーフ・マーケティング・オフィサー。BCGエグゼクティブ・コミッティ(経営会議) メンバー。ハーバード大学政治学部および東アジア研究学部卒業(Magna Cum Laude)、ハーバード大学経営学修士(MBA)。BCG東京オフィスに入社後、ニューヨーク・オフィスを経て現在に至る。
木村 亮示 シニア・パートナー&マネージング・ディレクター
本レポートの共著者の1人。BCG戦略グループ グローバル・リーダー。京都大学経済学部卒業、HEC経営大学院経営学修士(MBA)。国際協力銀行を経て、現在に至る。BCGパリ・オフィスに勤務した経験もある。
■ 本件に関するお問い合わせ
ボストン コンサルティング グループ マーケティング 伊原・嶋津
Tel: 03-5211-0600 / Fax: 03-5211-0333 / Mail:
press.relations@bcg.com
※2017年12月20日に追加調査を発表しました。
日本企業では社長の82%が生え抜き、米国企業は27%にとどまる。内部昇進中心の人事習慣は、日本の女性の活躍推進を妨げる1つの要素~BCG女性の活躍推進に関するレポート 追加調査