多くの ヘルスケアシステムがリアルタイムのキャパシティを考慮して最適な配分を判断することに困難を覚えていました。新型コロナウイルス感染症はこの難しい問題をさらに悪化させ、多くの病院および医療システムは突然の需要の上昇に対応できなくなっていました。
そのためBCGではCARE(Capacity and Resource Excellence) by BCGを考案しました。これは、 AIと最先端の アナリティクスを活用し、IHN(Integrated Hospital Network)や政府がヘルスケアリソースを広範なシナリオに対して最適化できるようにするデータドリブン・プログラムです。CARE by BCGは、適切なミックスと量のリソースが適時に適所にあるようにするものです。結果として、平常時・非常時を問わず、効率性やアクセス可能性が向上し、コストが低下します。
ヘルスケアプログラムにおいてCARE by BCGの需要プランニングはどのように機能するか
プログラムの中核にあるのは、カスタマイズ可能なクラウドベースのSaaS(サービスとしてのソフトウェア)ツールで、これを使って病院やネットワーク、政府は、各施設内および施設間でリソース配分、使用状況、パフォーマンスを最適化できます。具体的なユースケースとして以下のようなものがあります。
- 既存のリソースと将来のニーズの間のギャップを浮き彫りにする
- 需要、および、既存のヘルスケアリソース(労働力、設備機器、施設など)の供給への影響について、理解を深める
- システムの待ち時間を増大させる障害を特定する
- 将来のヘルスケアの取り組みの費用対効果を分析する
- 需要の予想外の急上昇(新型コロナウイルス感染急拡大の分析など)に対応するシナリオをモデル化する
しかし、ツールは他と関わりを持たずには動作しません。CARE by BCGプログラムのセットには、さまざまなステークホルダーに力を与え、最適化の手段を特定し、トランスフォーメーション・プログラムを実施するためのガバナンスが組み込まれています。また、ワークフローを標準化して無駄をなくす機会を特定することで、医療従事者と病院の生産性を測定するのに役立ちます。
CARE by BCGは、医療システムのオペレーション組織能力の現在および将来のニーズに関する情報を定期的に収集するように設計されており、アクセス可能な質の高い データに基づいてポリシーの決定が行われるようにします。また、CARE by BCGは患者との信頼関係を構築・維持するために不可欠なデータのプライバシーとセキュリティを保護します。
しかし、これらの要素はいずれも、適切な人材が配置されていなければ機能しません。 CARE by BCGプログラム は、主要な従業員が必要な評価と最適化の演習を行うために最新のテクノロジーを活用できるようにするトレーニングを支援します。
CARE by BCGプログラムは何が独特なのか

ほとんどのキャパシティ・需要プランニングアプローチでは過去の需要と供給のデータを使ってリソースニーズを判断しています。CARE by BCGのヘルスケア・キャパシティ・プランニングツールでは、過去のデータだけでなくリアルタイムのデータを使って将来の需要をシミュレーションします。同プログラムは30超のリアルタイムデータ入力(通院区域の人口、有病率、感染拡大の進行など)を分析し、40超の設定可能なパラメータ(有病率、照会パターン、特定の病気の平均入院日数など)でシナリオ分析をすることが可能です。
CARE by BCGの支援事例
医療サービス提供を改善すると同時にコストを低減
昨年、ある公的医療機関はヘルスケアリソースを20超の病院にわたり最適に配分する必要に迫られました。1,400超の疾病の種類、1,500の医療手順、135の診療専門分野と副専門分野の分析にCARE by BCGが使用されました。およそ10,000人の医師と50,000人の看護師等の医療従事者について評価が行われました。さらにベンチマーキングの目的で500名超の医師のインタビューが実施されました。この取り組みにより年間運営費が1億2,000万ドル~1億5,000万ドル節減できることがわかりました。
また、幅広いシナリオに対してそれが起こった場合に必要なリソースを理解するために、新型コロナウイルス感染症への対応準備の評価にもCARE by BCGが使用されました。これに続きサージ分析が行われ、大流行が起きた場合に、延期可能なあらゆる医療行為を特定し、利用可能な余剰リソースを数値化しました。この取り組みにより新型コロナウイルス患者向けに400病床と、そうした病床に携わっていたシフト勤務の看護師および診断・技術・治療にあたる医療従事者を確保することができました。
サービスへのアクセスを増強
欧州のある政府は、将来のニーズに対してより良い備えをするため、現在および将来の需要に対する病院システムのキャパシティをマッピングし、これらの調査結果を他の欧州の医療システムと比較してベンチマークしました。この分析により、高い入院率、平均を上回る入院日数、低い病床稼働率が示されました。また、いくつかの診療分野への需要の増大と他の分野における余剰も示されました。
この政府は、医療へのアクセス改善に向けて、地域の予想されるニーズに応えるため、病院が、需要が大きい診療分野を追加することを認可しました。さらに、医療提供が不足している地域やニーズが最も大きな診療分野への投資を促進するインセンティブを設けました。これらの施策のおかげで入院率と入院日数が減少し、それにより必要な人にとってのアクセスが改善し、病床稼働率も上昇しました。
ヘルスケアCARE by BCG需要プランニング エキスパート



