バッテリー価格の急速な低下により、2017年の予測を修正
経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、2020年1月2日に電動車(xEV)の市場予測に関するレポート「Who Will Drive Electric Cars to the Tipping Point?」(以下、レポート)を発表しました。本レポートでは、新車販売台数における駆動システム別の割合を予測しています。
電動車のシェアは急速に拡大、2030年には世界新車販売台数の51%を占める
電動車は、2025年には世界新車販売台数の約30%を占め、2030年にはガソリン車とディーゼル車の合計を超えて51%のシェアを獲得すると推計されました。特に、バッテリー駆動の電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)のシェアは急速に拡大すると見込んでいます。BEVのシェアは2019年の2%から、2025年に7%、2030年に18%、PHEVは2019年の1%から、2030年には6%と試算しています(図表1)。
バッテリー価格が予想より急速に低下、2017年の推計を修正
BCGは2017年にも電動車市場について推計していますが、バッテリー価格が従前の予想よりも急速に低下していることなどから、電動車のシェア拡大のスピードは速まると見込み、予測を修正しました。2017年時点で試算した電動車のシェアの数値は、2025年までに24%、2030年までに48%でした。
シェア拡大を支えるドライバーは「コスト低下」「排出規制」「消費者とメーカー」
電動車のシェア拡大の加速には、以下のような要因があります。
日本市場では、電動車のシェアは2030年に55%へ、ハイブリッド車は引き続きシェアを維持する
電動車普及の軌道は各市場で異なります。日本での新車販売台数における電動車の割合は、2025年までに40%を超え、2030年に55%となると見込んでいます(図表2)。駆動システム別にみると、日本市場の成長は他の主要市場とは異なる特徴を持っています。日本では、ハイブリッド車(HEV)のシェアが2019年時点ですでに22%を占めており、2030年でも23%と引き続きシェアを維持すると予測されています(世界では2030年に7%)。これは、国内主要メーカーが長年の間、ハイブリッド技術に多大な投資をしていることが要因で、このシェアをほかの駆動システムが奪うことは、容易ではないと考えられます。
自動車OEM各社は新技術や充電インフラへさらなる投資が必要
急速に変化する自動車市場で、各プレイヤーには立ち遅れずに対応することが求められます。自動車OEM各社は新技術や充電インフラへのさらなる投資が必要ですし、新たな競争優位の源泉を見きわめ、現行のビジネスモデルを再考しなければなりません。サプライヤーは、新たなバリューチェーンのどの領域に注力するかを考える必要があるとともに、電動車の部品をより多くつくっていくために、ガソリン車やディーゼル車の部品製造について見直しを迫られています。また、政府機関は、市場を大きく左右する、電動車へのインセンティブやCO2排出規制を注意深く検討しなければなりません。
■ 調査レポート
「Who Will Drive Electric Cars to the Tipping Point?」
2021年4月発表(市場予測更新)
「Why Electric Cars Can’t Come Fast Enough」
■ 日本における担当者
古宮 聡 マネージング・ディレクター &シニア・パートナー
BCG自動車セクターのアジア・パシフィック地区リーダー。明治大学政治経済学部卒業。IMD(International Institute for Management Development)経営学修士(MBA)。日本フィリップス株式会社、レーザーテック株式会社ロンドン支店を経て現在に至る。
富永 和利 マネージング・ディレクター &パートナー
BCG産業財・自動車グループの日本共同リーダー、オペレーショングループのコアメンバー。ペンシルバニア大学工学部卒業。コーネル大学工学部修士(MS)、マサチューセッツ工科大学経営学修士(MBA)。トヨタ自動車株式会社、ブーズ・アンド・カンパニーなどを経て2013年にBCGに入社。
■ 本件に関するお問い合わせ
ボストン コンサルティング グループ マーケティング 直江・嶋津・福井
Tel: 03-6387-7000 / Fax: 03-6387-0333 / Mail: press.relations@bcg.com
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日本では、1966年に世界第2の拠点として東京に、2003年に名古屋、2020年に大阪、京都、2022年には福岡にオフィスを設立しました。