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日本企業のカーボンニュートラル経営の成熟レベルは2年で大きく前進~BCG調査

サステナビリティ経営も着実に進展、両輪を加速させ相乗効果の創出を

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本リリースは、2024年12月11日に配信したプレスリリースの訂正版です。訂正箇所は以下の通りです。

  • 図表1中央、および 2ページ3段落目:サステナビリティ経営総合スコア: 誤1.96→ 正1.97
  • 下部リンク「BCGカーボンニュートラル・インデックス レポート 2024」: 9ページ、16ページなど複数箇所を訂正しています

経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、東証プライム上場企業を対象に、カーボンニュートラル(CN)経営、およびサステナビリティ経営の成熟レベルを分析する調査を行いました。本調査は2024年9月~11月に実施され、209社から有効回答を得ました。BCGが独自に開発した指標「BCGカーボンニュートラル・インデックス」を用いて日本企業の CN経営に関する取り組みを網羅的、統合的に診断するとともに、重要性が高まるサステナビリティ経営についても調査しています。本調査は2022年から毎年実施され、今回で3回目の調査となります。

日本企業のCN経営への取り組みは2年で大きく前進

「BCGカーボンニュートラル・インデックス」は、CN経営、および生物多様性の保全や廃棄物削減、人権デューデリジェンスの達成を目指す「サステナビリティ経営」の実現に向けた検討を支援する指標です。CN経営に関する5つの観点とサステナビリティ経営についての3つの観点、さらにそれらを詳細に分解した評価項目について4段階で成熟度を診断するものです(図表1)。

今回の調査では、CN経営の成熟度は参加企業全体で過去2回と同様、レベル2「CN化への取り組みに全社的に着手」でした。しかし、平均スコアは昨年の2.19から2.37へ、前回比0.18ポイント、2022年(2.10)との比較では0.27ポイント上昇しました。レベル3と4の企業の割合も昨年の約1割から約2割へと拡大し、日本企業全体で取り組みが進展していることが示されました。中でも、2022年からの回答企業(84社)では、平均スコアは2.58に上りました。

5つの観点すべてで着実に改善が見られ、昨年レベル1だった「新事業機会を探索する」を含め、全観点がレベル2となりました。特に、GHG削減目標の設定や実際の削減を含む「要件を充たす」の平均スコアは2.73と、レベル3に近づいています。

サステナビリティ経営も着実に進展

今回2度目となるサスナビリティ経営についての調査では、参加企業全体の成熟度は昨年と同じレベル1「準備・部分的着手段階」にとどまったものの、スコアは昨年の1.81から1.97へと0.16ポイント上昇し、レベル2に迫る結果となりました。

昨年から遅れが目立っていた「生物多様性・自然資本」は全体のスコアを押し下げる要因となっています。これは、産業や事業内容によって重点を置くテーマが異なるため、明確な方針の策定がまだ進んでいない企業が多いからだと考えられます。一方で、「廃棄物・サーキュラー」と「人権デューデリジェンス」では、それぞれスコアが約0.2ポイント上昇しました。

産業別動向: 製薬などでスコア向上 

CN経営の産業別分析でも、全般的な改善が見られました。レベル1から2に向上した製薬をはじめ、消費財・食料品・水産・農林業、物流業、輸送機器と幅広い産業でスコアが向上しました。製薬業界はサステナビリティ経営でもレベル1から2へと改善しました。

日本企業のCN経営推進の「型」: 3つのフェーズ

これまでの3回の調査・分析を通じて、日本企業は図表3に示す構想、実行、結実、という3つのフェーズでCN経営の実践を進めていることが見て取れました。
一定の成果をあげた3年目以降に取り組むべきポイントとして、CNを重視した「意思決定プロセス」の構築、「専門人材の育成」が挙げられます。特に、日本では2026年度に排出量取引制度の本格導入が予定されており、日本企業は2025年をその準備の年と位置付け、インターナルカーボンプライシングの導入などを通じ、CN関連の視点を意思決定に取り込むことが重要です。また、市場で不足している専門人材の採用と育成には、長期的視点で注力する必要があります。

CN経営とサステナビリティへの取り組みを統合し、両輪で加速する

今回の調査では、CN経営に早期から取り組んできた企業では、サステナビリティ経営でも先行する傾向が高いことも分かりました(図表4)。本調査への2022年からの回答企業(3年目企業)では、約12%がCN経営、サステナビリティ経営の双方でレベル3を達成していますが、1年目、2年目の企業ではその割合が1%台にとどまります。カーボンニュートラルとサステナビリティは相互に関係するテーマが多く、相乗効果が期待できます。CN経営を一定のレベルで達成した企業は、次の一手でサステナビリティ経営への取り組みを本格化させ、双方を統合的に加速させていくことが重要となります。

本調査を監修した、BCGシニア・アドバイザー、東京大学 未来ビジョン研究センター 高村ゆかり教授は以下のようにコメントしています。「脱炭素に加えて、生物多様性・自然資本、循環経済、人権といったサステナビリティに関する企業の取り組みがグローバルで加速する中、今回の調査で日本企業の取り組みの進展を確認できました。グローバル先進企業と肩を並べる企業が登場していることは喜ばしいことです。

複数年にわたり蓄積された調査データは有用であり、今後日本企業が脱炭素経営やサステナビリティ経営を進める上での道標として貴重なものです。脱炭素については、インターナルカーボンプライシング等を企業内での意思決定といかに紐づけするかなどの課題もあります。日本においては、2026年度から排出量取引制度も本格的に始まります。生物多様性の保全やプラスチック問題などに表れているように、サステナビリティの課題は、脱炭素とも密接に関係しており、課題の一体的把握、統合したアプローチで取り組むことが重要となります」

■ 調査レポート

BCGカーボンニュートラル・インデックス レポート 2024

■ 調査概要

東証プライム上場企業209社を対象に、「BCGカーボンニュートラル・インデックス」に基づいて評価

  • 実施時期: 2024年9月~11月
  • 評価方法: CN経営に関して、5つの観点「1. 経営戦略を示す」「2. 要件を充たす」「3. 競争優位性を構築する」「4. 新事業機会を探索する」「5. 実現するための基盤を構築する」と、それらを詳細に分解した21の評価項目について、「レベル1: CN経営への準備・部分的着手段階」「レベル2: CN化への取り組みに全社的に着手」「レベル3: CN化に向けた取り組みを加速」「レベル4: CN経営のフロントランナー」の4段階で成熟度を診断。あわせて、サステナビリティ経営に関して、7つの評価項目を設定。それぞれの評価項目について、4段階での成熟度合いで評価を行う。それぞれ「レベル1: 準備・部分的着手段階」「レベル2: 全社的着手」「レベル3: 取り組み加速」「レベル4: フロントランナー」。

■ 担当者

丹羽 恵久 マネージング・ディレクター & シニア・パートナー
BCG気候変動・サステナビリティグループの日本リーダー、パブリックセクターグループのアジア・パシフィック地区リーダー。BCGテクノロジー・メディア・通信グループ、社会貢献グループ、および組織・人材グループのコアメンバー。
慶應義塾大学経済学部卒業。国際協力銀行、欧州系コンサルティングファームを経て現在に至る。

平 慎次 マネージング・ディレクター & パートナー
BCG気候変動・サステナビリティグループ、およびエネルギーグループのコアメンバー。
京都大学工学部卒業。東京電力ホールディングス株式会社(旧東京電力株式会社)を経て現在に至る。

■ 本件に関するお問い合わせ

ボストン コンサルティング グループ マーケティング 小川・嶋津
Tel: 03-6387-7000 / Fax: 03-6387-0333 / Mail: press.relations@bcg.com

ボストン コンサルティング グループ(BCG)

BCGは、ビジネスや社会のリーダーとともに戦略課題の解決や成長機会の実現に取り組んでいます。BCGは1963年に戦略コンサルティングのパイオニアとして創設されました。今日私たちは、クライアントとの緊密な協働を通じてすべてのステークホルダーに利益をもたらすことをめざす変革アプローチにより、組織力の向上、持続的な競争優位性構築、社会への貢献を後押ししています。

BCGのグローバルで多様性に富むチームは、産業や経営トピックに関する深い専門知識と、現状を問い直し企業変革を促進するためのさまざまな洞察を基にクライアントを支援しています。最先端のマネジメントコンサルティング、テクノロジーとデザイン、デジタルベンチャーなどの機能によりソリューションを提供します。経営トップから現場に至るまで、BCGならではの協働を通じ、組織に大きなインパクトを生み出すとともにより良き社会をつくるお手伝いをしています。

日本では、1966年に世界第2の拠点として東京に、2003年に名古屋、2020年に大阪、京都、2022年には福岡にオフィスを設立しました。