2021年の予測を修正、規制圧力や総所有コストの低下などを背景に急拡大
【参考資料】
経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は2022年6月9日、電動車(xEV)の市場予測に関するレポート「 Electric Cars Are Finding Their Next Gear」(以下、レポート)を発表しました。 昨年4月に発表したレポートの予測を修正し、乗用車等(注1)の新車販売に占める駆動システム別の割合を、2035年まで、世界全体と主要市場(米国、欧州、中国)ごとに分析しています。
BEVの販売が好調、欧州では2035年に新車販売の90%以上をBEVが占めると予測
レポートでは、EVのなかでもバッテリー式電気自動車(BEV)の販売が好調であり、昨年の予測よりも速いスピードでシェアの拡大が進むと指摘しています。BEVは2025年に世界の新車販売の20%を占め、2035年には59%に達する見込みです(図表1)。特に欧州では、環境規制の強化を背景に、2035年には新車販売の90%以上をBEVが占めると試算しています。米国や中国もこれに続くかたちで、BEVの普及が進むと考えられます。

BEVの急速な拡大には、以下の要因が関係しています。
- 規制圧力: 米国のバイデン政権は、排気ガスに関する規制を大幅に強化。カリフォルニア州など10州以上が、新車販売に占めるゼロエミッション車の割合を決定した。欧州委員会は、2030年までにEU域内で販売される新車の二酸化炭素(CO2)排出量を、2030年までに2021年比で55%削減する政策を立案した
- 総所有コスト(TCO)の低下: 中国や欧州諸国では、中型乗用車の5年間のTCO(購入価格、維持費、走行距離、燃料費や電気代に基づく)はBEVと内燃機関車(ICE)で差がなくなっている。購入価格についても、EVは世界的にICEとの価格競争力を持つ段階に向かっている
- メーカーと消費者の動向: 自動車メーカーは、各社の最も人気のあるブランドや車両を電動化するなど、かつてないほどEVに注力している。また、けん引能力があることや、メンテナンスの手間がかからないことなど、消費者が求める基本的な性能がEVに備わりつつある。新興EVメーカーが売り上げを伸ばしていることもあり、消費者は、購入後のサポートやソフトウェアの更新、顧客提案の面でもEVは信頼できるという認識を持つようになっている
中国は、2030年に新車販売の40%をEV化する目標を達成する見通し
中国では、今年初めに新車販売に占めるEVの割合が20%を超えたことで、2030年に新車販売の40%をEVにするという目標が達成されると著者らは予測しています(図表2)。米国については、2030年の新車販売の半分をゼロエミッション車にするという目標達成のチャンスはまだ残されているものの、大幅な巻き返しが必要と見ています。

またレポートでは、ハイブリッド車の比率が高い日本が、2050年までに経済全体の温室効果ガス排出量ネットゼロを達成するにはゼロエミッション車に対する明確な目標を設定する必要があると指摘しています。
サプライチェーンや充電インフラの課題解決には、プレーヤー間の協働が不可欠
自動車業界が急速に変化するなか、各プレーヤーはサプライチェーン上の制約や、充電インフラの不足が購買の妨げになるリスクに目を向ける必要があります。こうした課題を解決するには、プレーヤー間の協働が不可欠です。レポートでは、充電インフラの拡充に向けた政府、自動車メーカー、電力会社による取り組みや、自動車メーカーと電池メーカー、正極材メーカーが共同で鉱山に投資しサプライチェーンのレジリエンス(回復力)向上を図っている例などを紹介しています。
(注1)スポーツ用多目的車(SUV)等を含む。大型商用車は除く
■ 調査レポート
「 Electric Cars Are Finding Their Next Gear」
■ 日本における担当者
滝澤 琢 マネージング・ディレクター & パートナー
BCG産業財・自動車グループ、マーケティング・営業・プライシンググループ、グローバル化戦略グループのコアメンバー。自動車セクターの日本リーダー。
東京大学法学部卒業。トヨタ自動車株式会社を経て現在に至る。
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