組織全体での人とAIとの相互学習が成功のカギ
【参考資料】
2021年2月18日 ―― 経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、MITスローン・マネジメントレビュー誌(以下、MIT SMR)との共同レポート「Expanding AI’s Impact With Organizational Learning」の日本語版「組織的学習でAIのインパクトを拡大する」を発表しました。本レポートは、MIT SMR、BCGのデジタル・アナリティクス領域を専門とする社内組織であるBCG GAMMA、およびBCGの戦略シンクタンクであるBCGヘンダーソン研究所(BCG Henderson Institute)が共同で実施した、AI(人工知能)技術の事業への適用に関する調査(以下、調査)の結果をまとめたものです。この共同調査は、4度目の実施です。
AIの重要性を認識する企業は増えているが、AIにより一定以上の利益を実現する企業は1割
調査では、世界112カ国29業界の企業・組織のマネジャー層3,000名超へのアンケートを実施しました。その結果、AIへの理解やAI戦略の策定は進んでいるにもかかわらず、AIの活用により一定以上の財務上の利益(注1)を出している組織はわずか1割であることが分かりました(図表1)。
注1:「一定以上の財務上の利益」についてはレポート内「調査について」をご参照ください。
AIによる価値を最大化するためには、組織全体での人とAIとの相互学習が必要
調査の結果、AIにより一定以上の財務上の利益を実現している企業は、組織全体にわたるAIとの相互学習を重視していることが明らかになりました。レポートでは、一定以上の利益を得る可能性を高める活動を特定し、4つのカテゴリーに分類しています。
また、人とAIとの間のフィードバックの手法は大きく分類すると以下の3つですが、より多くの手法を導入するほど大きな価値を創出できる可能性が高まることが分かりました(図表2)。
人とAIの関わり方のパターンを複数活用している企業は、よりよい結果を得られる
ただ、フィードバックが組織全体にわたる AI との相互学習を促進する助けとなるか、逆にその足かせになるかは、人と機械の関わり方を状況に応じて適切に選べるかどうかにかかっています。レポートでは、人と AI の関わり方を 5 つのパターンに分類しました。 5 つのパターンすべてを使いこなす企業は、 1 ~ 2 パターンしか利用できていない企業と比べ、一定以上の財務上の利益を得る可能性が 6 倍になります(図表 3 )。
組織全体がAIとともに学習するには、一連の複雑な組織行動が不可欠です。組織には新たなアーキテクチャ、プロセス、行動、そして姿勢が求められ、それは時に痛みを伴う著しい変化をもたらします。企業は長期的な観点から、短期的なダメージを許容し、投資を続ける必要があります。
レポートでは、さまざまな業界の事例をまじえ、AIとの相互学習の方法やAI活用の成功例を紹介しています。
■ 調査レポート
「組織的学習でAIのインパクトを拡大する」
英語版はこちら「Expanding AI’s Impact With Organizational Learning」
■ 調査概要
AIについてのグローバル共同調査2020
■ 日本における担当者
ロマン・ド・ロービエ (Romain de Laubier) マネージング・ディレクター & パートナー
BCGのデジタル・アナリティクス組織 GAMMAの北東アジア地区リーダー。産業財グループのグローバルリーダーシップチーム、およびコーポレートファイナンス&ストラテジーグループのコアメンバー。
パリ第9大学経済学部卒業。HEC経営大学院修了。米国の投資銀行、BCGパリ・オフィスでの勤務を経て、2019年1月よりBCG東京オフィス勤務。
■ 本件に関するお問い合わせ
ボストン コンサルティング グループ マーケティング 直江・嶋津・福井
Tel: 03-6387-7000 / Fax: 03-6387-0333 / Mail: press.relations@bcg.com
BCGは、ビジネスや社会のリーダーとともに戦略課題の解決や成長機会の実現に取り組んでいます。BCGは1963年に戦略コンサルティングのパイオニアとして創設されました。今日私たちは、クライアントとの緊密な協働を通じてすべてのステークホルダーに利益をもたらすことをめざす変革アプローチにより、組織力の向上、持続的な競争優位性構築、社会への貢献を後押ししています。
BCGのグローバルで多様性に富むチームは、産業や経営トピックに関する深い専門知識と、現状を問い直し企業変革を促進するためのさまざまな洞察を基にクライアントを支援しています。最先端のマネジメントコンサルティング、テクノロジーとデザイン、デジタルベンチャーなどの機能によりソリューションを提供します。経営トップから現場に至るまで、BCGならではの協働を通じ、組織に大きなインパクトを生み出すとともにより良き社会をつくるお手伝いをしています。
日本では、1966年に世界第2の拠点として東京に、2003年に名古屋、2020年に大阪、京都、2022年には福岡にオフィスを設立しました。