炭素除去のため、1トン当たり80ドルを投資
ボストン発、2020年9月1日 ―― 経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、2030年までに自社による気候変動への影響をネットゼロ(実質ゼロ)とする新たな目標を発表しました。温暖化ガス排出量を可能な限り削減するとともに、最先端の炭素除去プロジェクトに投資し、自社の排出量に相当する温暖化ガスを大気から除去する取り組みです。
温暖化ガス排出量を従業員1人当たり90%削減へ
BCGは、事業活動に伴うエネルギーと電力使用にかかる温暖化ガス排出量(注1)を、2025年までに2018年比で90%削減することをめざします(1FTE当たり、さまざまな勤務時間で働く人員を、フルタイムの従業員を1として換算)。また、全体の排出量の80%以上を占める出張について、2025年までに1FTE当たり30%以上の削減をめざします。BCGでは新型コロナウイルス感染拡大前から環境への影響低減に向けて運用の変更に着手していましたが、パンデミックからの学びをこの取り組みに生かす所存です。
2030年には炭素換算で1トン当たり80ドルを投資
上記の取り組みで削減しきれなかった排出量については、炭素除去プロジェクトや技術への投資を拡大し、自社での排出量と同量の二酸化炭素を大気中から除去することにより、ネットゼロを実現します。BCGは炭素除去に対し、2025年には1トン当たり35ドル、2030年には80ドルの投資を行うと決定しています。これは、これまで行ってきた自主的なカーボン・オフセットの市場平均価格、1トン当たり3~6ドルに比べて非常に大きな投資となります。BCGではこの取り組みを通じて、世界中の主要な組織と協力し、パリ協定の達成に不可欠な最先端の除去アプローチの開発と実装を推進したいと考えています。2030年以降は、自社の排出量よりも多くの二酸化炭素を除去し、クライメートポジティブを達成します。
BCGのCEO、リッチ・レッサーは次のように述べています。「新型コロナウイルス感染拡大により、気候変動という世界最大の問題を解決するために世界中で協力し、取り組みを進める必要性が高まっています。私たちは、自社のバリューとパーパスに忠実に、この新たな現実のなかでリーダーシップを発揮する責任があります。BCGが実現できる最大のインパクトは、クライアントが気候変動対策に取り組み、低炭素経済への移行を加速する支援を通じてのインパクトです。しかし、自信と誇りを持って業務に取り組むためには、自社のオペレーションを変え、大幅な投資をしなければなりません。他の企業と同様、私たちもステップアップしなければなりません」
政府、産業界、NGO等と連携し、持続可能な未来を実現
BCGは、自社のオペレーションの変更と炭素除去への投資に加え、政府、産業界、NGO等と連携して気候と環境への影響をコントロールし、ネットゼロに向けた世界的な進展を促進するために、今後10年間で4億ドルを投資することを決定しました。
BCGは、持続可能な未来を創造するためには幅広い組織による集団的な行動が必要だと確信しており、すでに毎年250以上の組織とともに350以上の気候・環境に関するプロジェクトを実施しています。
そのなかでBCGのチームは、革新的な研究、大きな影響をもたらす気候戦略、新たな気候ベンチャーの構築を通じて世界的な気候アジェンダの実現を支援しています。また、気候への影響を直接低減する変革や、世界の気候変動対策に影響を与えるESG(環境・社会・コーポレートガバナンス)プログラムの策定、課題解決に活用可能なアドバンスド・アナリティクスとデジタルツールの提供なども行っています。
また、BCGは、世界経済フォーラム(WEF)、WWF、TED Countdown、WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)とのパートナーシップを通じて、これらの組織の能力と効率性の向上、そして気候関連のミッションをよりよく遂行するための取り組みを支援しています。
さらに、第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26、2021年11月、英グラスゴー)の準備と開催に向けて、英国政府や国連の取り組みを支援しています。BCGでは特にパリ協定の目標達成における企業やNGOなどの役割に焦点をあわせて活動しています。この会議は気候問題に決定的な影響をあたえると考えられ、BCGは成果を確実にするためにたゆまぬ努力を続けていきます。
こうした一連の行動と投資、そしてさらなる気候変動への取り組みを通じて、BCGはScience Based Target(SBT、科学と整合する温暖化ガス削減目標)イニシアチブへの参加をめざすとともに、引き続き気候と環境に関する課題への世界的な取り組みを支えるリーダーシップの一翼を担っていきたいと考えています。
詳細は下記リンクをご参照ください。
https://www.bcg.com/about/about-bcg/net-zero
注1:GHGプロトコルのスコープ1 (事業者自らによる温室効果ガスの直接排出=燃料の燃焼、工業プロセス)、スコープ2(他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)にあたる
■BCG Japanにおける環境関連のエキスパート
折茂 美保 マネージング・ディレクター&パートナー
BCG社会貢献グループの日本リーダー。パブリック・セクターグループ、およびハイテク・メディア・通信グループのコアメンバー。東京大学経済学部卒業。同大学院学際情報学府修士。スタンフォード大学経営学修士(MBA)。
■ 本件に関するお問い合わせ
ボストン コンサルティング グループ マーケティング 直江・嶋津・福井
Tel: 03-6387-7000 / Fax: 03-6387-0333 / Mail: press.relations@bcg.com
BCGは、ビジネスや社会のリーダーとともに戦略課題の解決や成長機会の実現に取り組んでいます。BCGは1963年に戦略コンサルティングのパイオニアとして創設されました。今日私たちは、クライアントとの緊密な協働を通じてすべてのステークホルダーに利益をもたらすことをめざす変革アプローチにより、組織力の向上、持続的な競争優位性構築、社会への貢献を後押ししています。
BCGのグローバルで多様性に富むチームは、産業や経営トピックに関する深い専門知識と、現状を問い直し企業変革を促進するためのさまざまな洞察を基にクライアントを支援しています。最先端のマネジメントコンサルティング、テクノロジーとデザイン、デジタルベンチャーなどの機能によりソリューションを提供します。経営トップから現場に至るまで、BCGならではの協働を通じ、組織に大きなインパクトを生み出すとともにより良き社会をつくるお手伝いをしています。
日本では、1966年に世界第2の拠点として東京に、2003年に名古屋、2020年に大阪、京都、2022年には福岡にオフィスを設立しました。