ただし利益は減少、優れたAI戦略が成長のカギ
【参考資料】
(本資料は、2024年5月6日に米国で発表されたプレスリリースの抄訳です)
ボストン発、2024年5月6日 ―― 経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、グローバルアセットマネジメント・レポートの2024年版「 AI and the Next Wave of Transformation」(以下、レポート)を発表しました。BCGは資産運用市場と運用会社の動向についてまとめたレポートを毎年発行しており、今回で22回目になります。
2023年末の世界の運用資産残高は前年比12%増 ただし収益はわずか0.2%増、利益は8.1%減
2023年末の世界の運用資産残高は118兆ドルと推計されます(図表)。前年比9%減だった2022年(106兆ドル)から12%増となり、立ち直りの動きをみせました。日本における運用資産残高は17%増、5.8兆ドルでした。世界全体の新規流入資金は年初の運用資産残高の2.1%と推計されます。
運用資産残高が大幅に伸長する一方、業界は収益面での構造的なチャレンジに直面しています。2023年の資産運用業界全体の収益額は前年比0.2%増にとどまり、コストは4.3%増加。利益は8.1%減少しました。
![Press-release_Exhibit_GAM-2024](https://web-assets.bcg.com/dims4/default/c63e9a2/2147483647/strip/true/crop/2480x1182+0+0/resize/768x366!/format/webp/quality/90/?url=http%3A%2F%2Fboston-consulting-group-brightspot.s3.amazonaws.com%2Feb%2F03%2Facd4cc3844a890d079683be8440e%2Fpress-release-exhibit-gam-2024.png)
資産運用業界にのしかかる5つのプレッシャー
レポートでは、資産運用業界に構造的な課題を突き付ける、5つのプレッシャーについて解説しています。
- 収益の圧迫: 2005年以降、業界の収益成長の約90%は市場のパフォーマンスの向上によるものだった。しかし今後はそれに頼ることはできず、収益の圧迫は続くとみられる
- パッシブ商品志向の継続的拡大: パッシブ商品は引き続き人気があり、2023年の世界の投資信託とETF(上場投資信託)の新規流入資金全体の70%(約9,200億ドル)を占めた。2019年~2022年は同57%だったため、大幅にその割合が上昇したといえる
- 手数料の引き下げ圧力: 手数料の引き下げ圧力は続いており、2023年の平均手数料は0.22%。2015年の0.25%、2010年の0.26%と比べ低下している
- コスト上昇: コストは上昇の一途をたどっている。2010年以降、コストは年平均5%上昇し、2010年と比べ約80%増となった
- 生き残る新商品の減少: 資産運用会社は新しい商品を開発しようとしているが、その試みの多くは成功していない。2013年に発売された投資信託商品のうち、2023年まで存続している商品は37%に過ぎない
優れたAI戦略が成長を促進する
資産運用会社のAIに関する取り組みがどれほど進んでいるかを分析するため、BCGは米投資信託協会(ICI)とCFA協会と共同で、生成AIの導入に焦点を当てたグローバル調査を2024年第一四半期に実施しました。ベンチマーク対象となった主要運用会社57社の運用資産残高は合計で15兆ドルにのぼります。レポートでは以下のような調査結果を詳しく紹介しています。
- 72%が、今後3~5年以内に生成AIが組織に大きな、または変革的な影響を与えると考えている
- 66%が生成AIをビジネスの戦略的優先事項としている
- 75%が短期的な生成AI展開のために資本と人的資源を積極的に投入しており、29%はイノベーション予算の大部分を投入している
- 生成AI戦略を完全な形で定義し、ビジネス全体への導入に取り組んでいるのはわずか16%
レポートの共著者でBCGロンドン・オフィスのマネージング・ディレクター&パートナー、 ディーン・フランクルは次のようにコメントしています。「業界が直面する構造的な課題は、今後も深刻化し続けるでしょう。資産運用会社は、競争力を維持するためにAIがもたらす機会をとらえ、生産性の向上、商品のパーソナライゼーション、プライベート市場の機会の追求を進めるべきです」
■ 調査レポート
「 Global Asset Management Report 2024:AI and the Next Wave of Transformation」
■ 日本における担当者
栗原 勝芳 マネージング・ディレクター & パートナー
BCGコーポレートファイナンス&ストラテジーグループ、保険グループの日本共同リーダー。金融グループのコアメンバー。
東京大学経済学部卒業。株式会社大和証券グループ本社、外資系コンサルティングファームを経て現在に至る。
■ 本件に関するお問い合わせ
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