日本の家計金融資産は16兆ドル
(本資料は米国で発表された報道資料の抄訳です)
ボストン発、2023年6月27日 ―― 経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、2023 年版グローバルウェルス・レポート「Global Wealth Report 2023: Resetting the Course」(以下、レポート)を発表しました。BCG では、家計資産の規模やウェルスマネジメント(富裕層向け運用サービス)業界の動向をまとめたレポートを毎年発表しており、今回は23 回目となります。
世界の家計金融資産は255兆ドル、日本の家計金融資産は16兆ドル
2022年の世界の家計金融資産は255兆ドルと推計され、前年比4%減と15年ぶりに減少しました(図表)。ウクライナ侵攻による地政学的な不透明感を背景にしたインフレとそれに伴う金利上昇、および株式市場のパフォーマンス低下によるものです。地域別では、アジア太平洋、中東、アフリカ、中南米で増加、北米と欧州で減少しました。日本の家計金融資産は0.8%増の15.8兆ドルでした。世界の不動産等の非金融資産は5.5%増の261兆ドル、金融資産との合計では516兆ドル(1%増)でした。
レポートでは、マクロ経済の見通しの改善と株式市場の回復により、早ければ2023年にも再び金融資産は成長に転じると予想しています。
また、マクロ経済の不確実性を背景に、全世界のクロスボーダー・ウェルス(自国外に預ける資産)は前年比4.8%増の12兆ドルとなりました。現在最も多額の自国外資産を管理しているスイスに代わり、2025年末には香港がクロスボーダー・ウェルスのブッキングセンターとしてトップとなると著者らは予測しています。シンガポールも安全性を武器に高い競争力をつけているほか、アラブ首長国連邦(UAE)へもアジア太平洋や東欧などから資産が集まっています。
手数料の低下とコスト上昇が収益を圧迫 収益・コスト面で新たな取り組みが必要
ウェルスマネジメント業界が得る手数料は近年低下し続けていたものの、堅調な市場環境と預かり残高[注1]の増加によって相殺されていました。しかし、2022年に預かり残高は前年比11%減となりました。さらに、フロントオフィスの大規模化や賃金の上昇、テクノロジーへの投資によりコストも上昇しており、インフレが過去10年を上回る水準で持続していることからこれらのコストは高止まりすると予想されます。業界における税引き前利益率は、全世界で平均2.3ベーシスポイント減少しました。
レポートでは、ウェルスマネジメントを提供する企業が競争力を維持するために必要な、収益・コスト面での新たな取り組みを紹介しています。
注1:Client Business Volume: 顧客の資産、負債を合わせた残高
■ 調査レポート
「Global Wealth Report 2023: Resetting the Course」
■ 日本における担当者
栗原 勝芳 マネージング・ディレクター & パートナー
BCGコーポレートファイナンス&ストラテジーグループの日本共同リーダー。金融グループ、および保険グループのコアメンバー。
東京大学経済学部卒業。株式会社大和証券グループ本社、外資系コンサルティングファームを経て現在に至る。
■ 本件に関するお問い合わせ
ボストン コンサルティング グループ マーケティング 小川・福井・天艸
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日本では、1966年に世界第2の拠点として東京に、2003年に名古屋、2020年に大阪、京都、2022年には福岡にオフィスを設立しました。