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AIをKPIの策定に活用している企業の90%がKPIの改善を報告している~BCG、MITスローン・マネジメント・レビュー誌共同調査

AIで高度化されたKPIでパフォーマンスの測定を改善

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【参考資料】

(本資料は、2024年2月13日に米国で発表されたプレスリリースの抄訳です)

ボストン発、2024年2月13日 ―― 経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、MITスローン・マネジメント・レビュー誌(以下、MIT SMR)と共同で、AIと企業のKPI(重要業績評価指標)に関するレポート「The Future of Strategic Measurement: Enhancing KPIs With AI」(以下、レポート)を発表しました。MIT SMRとBCGはAIとビジネス戦略に関するグローバル調査を毎年実施しています。7回目となる今回の調査では、世界100カ国25業界以上の企業・組織のマネジャー層約3,000名から回答を得ました。

回答者の60%がKPI改善の必要性を認識している

企業では一般的に、売上成長、顧客満足度、オペレーションの効率性など、事業に関わるさまざまな目標の進捗を測るうえで、KPIをベンチマークとして使用します。レポートによると、回答者の60%が、意思決定の質を高めるには自社のKPIを改善する必要があると考えています。一方で、AIを活用してパフォーマンスを測る指標をより合理的かつ柔軟で、予測を立てやすい形に改善している企業は、約3分の1(34%)にとどまっています(図表1)。

AIを活用してKPIを高度化している企業の9割でKPIが改善

AIで高度化されたKPIを策定している企業の9割が、KPIが改善されたことを認めています。今回の調査では、新たなKPIの策定にAIを活用している企業は、そうでない企業と比較すると、さまざまなビジネス上のメリットを見込んでいることがわかりました。従業員同士の協働の機会は4倍多く、将来のパフォーマンス予測の有効性は3倍、より大きな財務上のベネフィットを得られる可能性は3倍、効率性が大きく改善する可能性は2倍高くなっています(図表2)。

AIで高度化された「スマートKPI」の3タイプ

レポートでは、AIで高度化されたKPIを「スマートKPI」とし、単純なパフォーマンスの追跡にとどまっていた従来の指標を改善する3タイプのスマートKPIについて解説しています。

  • 説明型KPI: 過去から現在までのデータを統合して、過去に何が起きたか、今何が起きているかについて洞察を提供する(例: 製薬大手サノフィでは“snackable AI”を活用し、異なるKPI間の相互依存性を明らかにすることで、状況認識の精度を上げている)
  • 予測型KPI: 将来のパフォーマンスを予測し、信頼できる優れた指標を策定し、潜在的な結果も含めた見通しを提供する。人間が認識できないパターンを特定し、直感に反しうるさまざまなパターンもあわせて活用できるようにする(例: ゼネラル・エレクトリック〈GE〉では、KPIの焦点を先行指標に合わせた。さらに、製品やサービスの導入数と注文数を比較することで、AIを活用して注文のパイプラインを分析している)
  • 規範型KPI: AIを活用してパフォーマンスを最適化する行動を推奨・提案する(例: サノフィのスマートKPIは、サプライチェーン上の実績に基づいて販売活動や優先事項の調整を推奨することで、オペレーションと販売の整合を図っている)

スマートKPIの価値をさらに高めるために

従来のKPIからアルゴリズムに基づくKPI(スマートKPI)へ移行することで、企業がパフォーマンスを理解し、定義し、追求するプロセスは根底から変わります。レポートでは、スマートKPIをオペレーション・組織・戦略の観点でさらに価値あるものにするために取るべきステップを提示しています。

  • スマートKPIを可能にするべく、データガバナンスを再調整する
  • KPIガバナンスシステムを確立する
  • デジタルツイン[注1]を活用して、主なパフォーマンス指標を高度化する
  • カルチャーの面から準備し、人間中心のアプローチを優先する
  • スマートKPIと戦略の整合性を担保する

BCGのマネージング・ディレクター&シニア・パートナーであり、レポートの共著者であるShervin Khodabandehは次のようにコメントしています。「AIを用いた取り組みの大半は、企業のパフォーマンスの改善が目的となっています。しかしこのレポートは、企業がそもそもパフォーマンスをどのように定義し測定するのか、AIを使ってそれをどのように変革できるかに光を当てています。これは既存のKPIの改善にとどまらず、KPIの在り方自体を根本的に再考するということです」

[注1]「デジタル空間上の双子」を意味し、現実のモノや環境をデジタル空間に再現する技術

■ 調査レポート

The Future of Strategic Measurement: Enhancing KPIs With AI

■ 調査概要

AIとビジネス戦略に関するグローバル共同調査

  • 調査方法: 世界100カ国25業界以上の企業・組織のマネジャー層3,043名へのアンケート調査、および大企業でAIに関わる取り組みを主導する経営幹部17名へのインタビュー
  • 実施時期: 2023年春

■ 日本における担当者

中川 正洋 マネージング・ディレクター & パートナー
日本における生成AIトピックのリーダー。BCG X、BCGパブリックセクターグループ、およびテクノロジー&デジタルアドバンテッジグループのコアメンバー。
早稲田大学理工学部卒業。同大学大学院理工学研究科修了。グローバルコンサルティングファームなどを経て現在に至る。

■ MITスローン・マネジメント・レビュー誌(MIT SMR)について

At MIT Sloan Management Review (MIT SMR), we explore how leadership and management are transforming in a disruptive world. We help thoughtful leaders capture the exciting opportunities — and face down the challenges — created as technological, societal, and environmental forces reshape how organizations operate, compete, and create value.

■ MIT SMR BIG IDEASについて

MIT SMR’s Big Ideas Initiatives develop innovative, original research on the issues transforming our fast-changing business environment. We conduct global surveys and in-depth interviews with front-line leaders working at a range of companies, from Silicon Valley startups to multinational organizations, to deepen our understanding of changing paradigms and their influence on how people work and lead.

■ 本件に関するお問い合わせ

ボストン コンサルティング グループ マーケティング 小川・福井・天艸
Tel: 03-6387-7000 / Fax: 03-6387-0333 / Mail: press.relations@bcg.com

ボストン コンサルティング グループ(BCG)

BCGは、ビジネスや社会のリーダーとともに戦略課題の解決や成長機会の実現に取り組んでいます。BCGは1963年に戦略コンサルティングのパイオニアとして創設されました。今日私たちは、クライアントとの緊密な協働を通じてすべてのステークホルダーに利益をもたらすことをめざす変革アプローチにより、組織力の向上、持続的な競争優位性構築、社会への貢献を後押ししています。

BCGのグローバルで多様性に富むチームは、産業や経営トピックに関する深い専門知識と、現状を問い直し企業変革を促進するためのさまざまな洞察を基にクライアントを支援しています。最先端のマネジメントコンサルティング、テクノロジーとデザイン、デジタルベンチャーなどの機能によりソリューションを提供します。経営トップから現場に至るまで、BCGならではの協働を通じ、組織に大きなインパクトを生み出すとともにより良き社会をつくるお手伝いをしています。

日本では、1966年に世界第2の拠点として東京に、2003年に名古屋、2020年に大阪、京都、2022年には福岡にオフィスを設立しました。