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事業構築を重視する企業は年間売上高の4分の1にあたる資金を高成長の事業機会に投資~BCG調査

将来にわたって継続的に事業機会を創出できる態勢づくりが課題

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【参考資料】

(本資料は、2023年11月15日に米国で発表されたプレスリリースの抄訳です)

ボストン発、2023年11月15日 ―― 経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、事業構築に関する調査結果をまとめたレポート「How Companies Can Speed Up the Business of Business Building」(以下、レポート)を発表しました。調査は日本を含む世界17カ国の経営リーダー1,051人を対象に、BCGのデジタル領域に関する専門家集団BCG Xによって行われました。

経営リーダーの73%が事業構築は自社の優先事項であると回答

今回の調査によると、事業構築は自社の優先事項であると回答した経営リーダーは73%にのぼり、2021年以降、年平均5件のペースで、新規市場参入や買収といった高成長の事業機会に取り組んでいると答えています。これらの企業は年間売上高の約27%にあたる資金を、自己資金による新規事業の立ち上げ、スタートアップの買収、共同出資などに投資しています(図表1)。一方、生み出した新規事業を拡大したり、さらに新しい事業を継続的に創出したりできる態勢が整っていると回答した経営リーダーは半数(52%)にとどまりました。

BCG X北東アジア地区共同リーダーで、レポートの共著者であるマネージング・ディレクター&シニア・パートナーの平井 陽一朗は次のようにコメントしています。「この20年間、日本企業もデジタル関連の組織能力構築に一定の投資をし続けてきましたが、同じ業界・業種内であっても、個社ごとの本気度の濃淡により、圧倒的な差が生まれてきています。粘り強く投資し続けている企業にとっては、個別事業の成功体験だけでなく、失敗体験も含めて、 “打席に立った回数”が必ず糧となります。その経験が活き、生成AIを含むデータ活用ビジネスや、デジタルを組み合わせた脱炭素ビジネス、さらにはWeb3関連ビジネスなど、今後も多くの新しい事業機会を捉えていくことができるでしょう」

48%が製品を売り出すまでの期間がスタートアップ企業よりも長いと認識

事業構築にかかる期間についても尋ねたところ、平均して、新規事業を事業ポートフォリオに加えるかどうかの検討に最長3年、ローンチ(製品・サービスの提供開始)までにはさらに3年かかっていることがわかりました。また、調査対象となった経営リーダーは、事業が黒字化するまでに3、4年は投資するつもりだと回答しています。事業構築には根気強い投資が求められることがうかがえます。

事業構築の初期段階で迅速に動けば、成功率は高まります。その点で、企業は自社のローンチが遅すぎると認識しているようです。経営リーダーのうち48%が、自社が製品を売り出すまでにかかる期間は、スタートアップ企業よりも長いと回答しています。また、ほぼ全員が「自社の方が先にローンチできるはずだった」「先にローンチすべきだった」事業を競合他社がローンチした例を複数挙げました。

事業構築の成功に不可欠な9つの戦略資産と、計画を立てる3つのステップ

レポートでは、200を超える新規事業の立ち上げを支援してきたBCG Xの経験に基づき、事業構築を成功させるうえで重要な9つの戦略資産を提示しています。

  • 特許、企業秘密、方法論などの知的財産
  • 社内外から収集したデータ
  • 販売・流通ネットワークへのアクセス
  • 訴求力のあるブランド
  • 健全なキャッシュフローを生み出す財務体質
  • イノベーションカルチャー
  • 他社、大学、地域団体、政府機関との戦略的パートナーシップ
  • 必須技術
  • 人材

調査対象となった大企業の経営リーダーのほとんどが、9つのうち自社が活用可能な資産は5つ以下であると回答。すべての資産を活用可能と答えた企業はわずか3%でした。また、これらの資産を保有している場合でも、新規事業の構築に有効活用できている企業は半数にとどまっています。これを踏まえ、BCG Xは次の3つのステップに沿って計画を立てることを推奨しています。

  1. 自社の組織能力と優位性のある戦略資産を精査し、競合他社と比較する。
  2. 起業家精神をもつ人材を集めて配置する。事業構築に向けた新たな人材支援モデルを検討する。
  3. 買収などの手段を通じて、既存の取り組みを補完・加速するために必要な態勢を整える。

■ 調査レポート

How Companies Can Speed Up the Business of Business Building

■ 日本における担当者

平井 陽一朗 マネージング・ディレクター & シニア・パートナー
BCG X北東アジア地区共同リーダー。
東京大学経済学部卒業。三菱商事株式会社を経てBCGに入社。その後、ウォルト・ディズニー・ジャパン、オリコンCOO(最高執行責任者)、ザッパラス社長兼CEO(最高経営責任者)を経てBCGに再入社。

■ BCG X(エックス)について

BCG Xは、テクノロジーやデジタルを駆使したビジネス、およびプロダクトビルディングを担う、BCGの専門家集団です。
BCG Xは、BCGの産業や経営機能に対する深い専門知識を活用しつつ、高度な技術的知識と意欲的な起業家精神を結集して、企業の大規模なイノベーションの実現を支援します。80を超える都市に約3,000人のテクノロジスト、データサイエンティスト、エンジニア、デザイナー、プロダクトマネジャー、アントレプレナーを擁し、世界で最も重要な課題と機会に対応するプラットフォームとソフトウェアを構築・設計しています。
私たちのエンドツーエンドのグローバルチームは、既存の産業・機能別プラクティスの枠を超え、クライアントと密接に連携しながら、新しい可能性を切り拓いていきます。私たちは、大胆でディスラプティブ(破壊的)な未来の製品、サービス、ビジネスをともに創り上げていきます。

■ 本件に関するお問い合わせ

ボストン コンサルティング グループ マーケティング 井上・小田切・天艸
Tel: 03-6387-7000 / Fax: 03-6387-0333 / Mail: press.relations@bcg.com

ボストン コンサルティング グループ(BCG)

BCGは、ビジネスや社会のリーダーとともに戦略課題の解決や成長機会の実現に取り組んでいます。BCGは1963年に戦略コンサルティングのパイオニアとして創設されました。今日私たちは、クライアントとの緊密な協働を通じてすべてのステークホルダーに利益をもたらすことをめざす変革アプローチにより、組織力の向上、持続的な競争優位性構築、社会への貢献を後押ししています。

BCGのグローバルで多様性に富むチームは、産業や経営トピックに関する深い専門知識と、現状を問い直し企業変革を促進するためのさまざまな洞察を基にクライアントを支援しています。最先端のマネジメントコンサルティング、テクノロジーとデザイン、デジタルベンチャーなどの機能によりソリューションを提供します。経営トップから現場に至るまで、BCGならではの協働を通じ、組織に大きなインパクトを生み出すとともにより良き社会をつくるお手伝いをしています。

日本では、1966年に世界第2の拠点として東京に、2003年に名古屋、2020年に大阪、京都、2022年には福岡にオフィスを設立しました。