新型コロナウイルスに関する消費者意識調査の結果を発表:日本では他国に比べ支出を控える傾向~BCG調査

約8割が「外出を極力避けている」と回答

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2020年4月30日――経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、4月18日から20日にかけて全国で実施した、新型コロナウイルスによる消費者意識の変化の調査結果を発表しました。日本の消費者は、外出自粛要請という強制力のない措置にもかかわらず、約8割が「外出を極力避けている」と回答し、公共の場での活動を控え、巣ごもり消費を志向する傾向が顕著であることが分かりました。また、約9割が「新型コロナウイルスの影響で景気が後退する」と回答するなど、事態の影響を大きく捉えています。本調査は3月より米国やヨーロッパ、中国、インドなど世界中の国々で継続的に行っています。これまでの世界の調査と合わせ、日本での調査結果を以下に紹介します。

世界各地で感染拡大により消費者心理は悪化 これまでの調査により、感染が拡大するにつれて、また、イベントの中止要請やロックダウンなどの政府の措置が厳しくなるにつれて、消費者心理が悪化することが分かっています。たとえば、米国では「新型コロナウイルスの影響で景気が後退する」という回答が、3月6日~9日に行われた調査では56%だったのに対し、政府によって欧州からの旅行が制限されたのちの3月13日~16日の調査では72%と急増しました。 

日本では「景気が後退する」89%、強い自粛マインドの影響か 4月7日に7都府県を対象に発令され、その後全国に拡大された緊急事態宣言等、日本では政府の措置には諸外国のような強制力はありません。にもかかわらず、日本で行われた調査では「混雑した場所では人から距離を置き、握手等は避けている」「公共スペースへの外出を極力避けている」と答えた消費者がともに80%を超えており、世界各国と比べても新型コロナウイルスを拡散させない行動を取ることができていると言えます。ただ、自粛という「自ら律する」アプローチのためか、事態を悲観的に捉えている傾向があることも分かりました。たとえば、「新型コロナウイルスの影響で景気が後退する」との回答は89%に上り、被害の大きいヨーロッパなどと同程度の割合です(図表)。また、80%以上が「1年以上は経済の回復は見込めない」と回答し、うち半分の40%程度は「今後数年間は回復しない」と答えました。「新型コロナウイルスによる最悪の事態はまだ脱していない」と回答した人の割合も82%でした。

日本の消費者は支出を控える傾向:今後6カ月の消費見通し

今後6カ月の消費見通しをさまざまな項目について聞いたところ、日本の消費者は、支出を増やす項目が他国と比べると少なく、挙げられたのは「加工食品」「食料品や主食」「テイクアウト・フードデリバリー」といった短期的な需要についてのものでした。理由としても、買いだめに対する不安を挙げる人が多く、たとえば27%の回答者が「支出を増やす」とした加工食品について、58%が「供給不足に備えてストックを増やすため」を理由としています。他国では増やす傾向のある「貯金」についても、日本では38%が減らすと回答しています。
支出を減らす項目としては「遊園地、テーマパーク等」「旅行」「レストランでの食事」「高級ブランド品」「公共交通機関での移動」などが上位に挙がり、これらについては消費者の50%以上が減らすと回答しました。

「巣ごもり需要」に伸び、オンラインは若い世代で大きく増える 外出自粛要請に伴い、「巣ごもり需要」が伸びていることも分かりました。「テイクアウト・フードデリバリー」は26%、「動画サービス」は22%の人が支出を増やすと回答しています。
また、オンラインショッピングサイトの利用については40歳未満と40歳以上で伸びが大きく異なります。「複数のブランド/企業の商品を扱うオンラインショッピングサイト」の利用では、通常より支出を増やすと答えた消費者が、40歳以上では各年代10~20%台にとどまったのに対し、18歳~29歳では39%、30歳~39歳では33%と高い割合でした。

在宅勤務の割合は地域で差 地域別にみると、4月7日に緊急事態宣言が発令された地域では、他の地域と比較して、ライフスタイルの変化を感じる割合が高く、在宅勤務の実施も進んでいます。「新型コロナウイルスの影響で日常のライフスタイルを変えた」という回答(注:1)は、①:東京23区と大阪市では77%、②:①を除く4月7日の緊急事態宣言対象地域では74%、③:その他の地域が69%でした。「現在職場に出勤せず、在宅勤務をしている」という回答は、①40%、②30%、③23%でした。

注1:「強くそう思う」「そう思う」と答えた人の割合の合計

日本におけるニューノーマルとは:世界各国では時系列の変化 世界各国では、時系列の変化がみられます。事態が落ち着き始めた中国では、消費者心理も改善しています。日々の活動について尋ねた項目では、3月13日~16日の調査から3月27日~30日の調査で、「バスや地下鉄、電車の利用」への不安が6%減少、「レストランへ行くこと」への不安が7%減少するなど、多くの活動への懸念が和らいでいます(COVID-19 Consumer Sentiment Snapshot #4: Fighting in the Dark参照)。また、被害が大きいものの、感染拡大のペースが鈍化し始めたイタリアでは、翌月のレストランでの支出の見通しが3月27日~30日の調査から4月10日~13日の調査で4%増加しました。日本でも、事態の推移に伴って消費者心理も変化していくことが予想されます。本調査は継続的に行い、日本における「ニューノーマル」とはどのようなものになるのかを考察していきます。次回の調査結果の公表は5月の予定です。

調査資料
※2020年5月13日に日本の調査資料を追加しました。

「新型コロナウイルスに関する消費者意識調査 日本」

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 調査概要 実施時期: 2020 年 4 月 18日(土)~4 月 20 日(月)
調査方式: オンライン調査
回答者数: 7,485人(日本での調査)

■ 日本における担当者  
森田 章 マネージング・ディレクター & パートナー
BCG消費財・流通・運輸グループの日本リーダー。同マーケティング・営業・プライシンググループのコアメンバー。
慶應義塾大学大学院理工学研究科修了。IT関連企業の起業・経営、米系コンサルティングファームを経て現在に至る。  

■ 本件に関するお問い合わせ ボストン コンサルティング グループ マーケティング 直江・嶋津・福井
Tel: 03-6387-7000 / Fax: 03-6387-0333 / Mail: press.relations@bcg.com

ボストン コンサルティング グループ(BCG)

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日本では、1966年に世界第2の拠点として東京に、2003年に名古屋、2020年に大阪、京都、2022年には福岡にオフィスを設立しました。