MPowerとBCGが「ESG×VC レポート」を発表 VCの投資判断プロセスにおけるESG要素の検討実態とポイントが明らかに
ESG重視型グローバルベンチャーキャピタルのMPower Partners Fund(以下、MPower)と経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、本日「ESG×VC レポート: VC・スタートアップのESGへの取り組み状況を踏まえたVCにおけるESGの戦略的要諦・アクション」(以下、本レポート)を発表しました。
MPowerとBCGは2022年秋に、ESG(環境・社会・ガバナンス)に対する関心の高まりを受けて、スタートアップの取り組みに関する提言をまとめたレポート「ESG×スタートアップ レポート: 国内スタートアップの現状と、国内外の先進事例に基づいたESGへの取り組み意義/方法」を発表しました。
それから1年半が経った現在、ESG重視の流れは国内外問わず持続しており、スタートアップと共にエコシステムを形成するベンチャーキャピタル(VC)においても、正しく現状を把握し取り組みを加速させる必要性が増しています。その一方で、ESGの効果を認識しつつもどのように取り組むか苦慮しているVCが多いようです。
そこで本レポートではVCのESG実装の一助となるように、国内VC22社へのアンケート調査を基に、「E・S・G各要素の投資判断における検討実態」「ESG検討のボトルネック」「ESGの投資判断・事業運営におけるメリット」等、VCにおけるESGへの取り組みの現状を定量的に整理しました。
さらに国内外で先行するVC4社へのインタビュー、ESGトレンドおよび国内外VC各社に関する各種公開情報、国内スタートアップ50社へのアンケート調査を基に、「VCがESGに取り組む意義」「ESGの戦略的要諦」「具体的アクション」「ケーススタディ」をまとめています。
VCがESGに取り組む効果は実感するも、フレームワークの欠如やリソース不足に苦労
まず調査から見えたのは、ESG要素を投資判断に取り込む効果を実感するVCが多い一方、統一されたフレームワークの欠如やリソース不足が実践のボトルネックになっている現状です。
投資検討先に期待するDEIや企業行動規範・情報管理方針の水準は、VC内部基準より寛容
領域ごとの取り組みでは次のような実態が明らかになりました。
環境
社会
ガバナンス
スタートアップに対するVCの期待値引き上げが、国内エコシステムの持続的成長の要
またレポートでは、ESG実装で先行する国内外VC4社へのインタビュー、ESGトレンドおよび国内外VC各社に関する各種公開情報、国内スタートアップ50社へのアンケート調査を基に、「VCがESGに取り組む意義」「ESGの戦略的要諦」「具体的アクション」「ケーススタディ」をまとめています。
VCがESGに取り組む意義を理解するポイント
ESGの戦略的要諦
各ポイントにおける先進事例や具体的アクションについては、調査レポートをご参照ください。
ESGへの理解を深め、取り組みを進める上で役立つ「2022 Sustainability Report」も公開中
MPowerが昨年発行した「2022 Sustainability Report」では、MPowerのESGに対するアプローチ、ESG各領域におけるマテリアリティごとのアクション、ジェンダー多様性についての調査、前回のBCGとの共同レポートなどの主な成果をまとめています。また後半にはいくつかのポートフォリオ企業におけるESGジャーニーも収めました。
「2022 Sustainability Report」:
日本語版はこちら
英語版はこちら
■ 調査レポート
「ESG×VC レポート: VC・スタートアップのESGへの取り組み状況を踏まえたVCにおけるESGの戦略的要諦・アクション」
■ レポートに関するお問い合わせ
MPower Partners Fund
佐久間 優奈 プリンシパル
マッキンセー・アンド・カンパニー東京支社にて、企業の中長期戦略及び全社変革プログラムにおける課題解決業務に従事。マッキンゼー以前は、ワシントンD.C.のシンクタンクCenter for Global Development、ボストンのライフサイエンス分野向けコンサルティングファームTrinity Life Sciencesに勤務。VC業界へのESG定着を目指すグローバル非営利団体Venture ESG運営委員。プリンストン大学、ハーバード大学院(MBA)卒業。
yuna@mpower-partners.com
村上 由美子 ゼネラル・パートナー
OECD(経済協力開発機構)東京センター元所長。岸田内閣「新しい資本主義実現会議」を含む、内閣府、経産省、外務省など多くの審議会で委員を歴任。2016年に上梓した『武器としての人口減社会』はアマゾン経済書部門にてベストセラーとなる。OECD以前は、主にニューヨークおよびロンドンのゴールドマン・サックス証券会社のマネージメント・ディレクターとして約20年間勤務。カンボジアの国連平和維持軍や、東カリブ海地域の経済開発援助にも携わった。上智大学、スタンフォード大学院、ハーバード大学院卒。
yumiko@mpower-partners.com
ボストン コンサルティング グループ(BCG)
折茂 美保 マネージング・ディレクター & パートナー
BCG社会貢献グループの日本リーダー。気候変動・サステナビリティグループ、パブリックセクターグループのコアメンバー。
東京大学経済学部卒業。同大学院学際情報学府修士。スタンフォード大学経営学修士(MBA)。
栗原 勝芳 マネージング・ディレクター & パートナー
BCGコーポレートファイナンス&ストラテジーグループの日本共同リーダー。金融グループ、および保険グループのコアメンバー。
東京大学経済学部卒業。株式会社大和証券グループ本社、グローバルコンサルティングファームを経て現在に至る。
■ MPower Partners Fundについて
MPower Partners Fundは、日本初のESG重視型のグローバルVCファンドです。スタートアップがESG(Environment、Social、Governance)の視点を戦略に取り入れることで持続的な成長と社会・環境への好影響がもたらされるという信念のもと、テクノロジーで社会的課題の解決に挑む大胆でグローバルな起業家を支援します。創業者をはじめとするチームには豊富な経験と専門知識を有するメンバーが揃っており、日本のベンチャー生態系がよりグローバルかつ多様になり、多くのイノベーションを生み出せるよう働きかけていきます。
https://www.mpower-partners.com
■ 本件に関するお問い合わせ
ボストン コンサルティング グループ マーケティング 小川・天艸
Tel: 03-6387-7000 / Fax: 03-6387-0333 / Mail: press.relations@bcg.com
BCGは、ビジネスや社会のリーダーとともに戦略課題の解決や成長機会の実現に取り組んでいます。BCGは1963年に戦略コンサルティングのパイオニアとして創設されました。今日私たちは、クライアントとの緊密な協働を通じてすべてのステークホルダーに利益をもたらすことをめざす変革アプローチにより、組織力の向上、持続的な競争優位性構築、社会への貢献を後押ししています。
BCGのグローバルで多様性に富むチームは、産業や経営トピックに関する深い専門知識と、現状を問い直し企業変革を促進するためのさまざまな洞察を基にクライアントを支援しています。最先端のマネジメントコンサルティング、テクノロジーとデザイン、デジタルベンチャーなどの機能によりソリューションを提供します。経営トップから現場に至るまで、BCGならではの協働を通じ、組織に大きなインパクトを生み出すとともにより良き社会をつくるお手伝いをしています。
日本では、1966年に世界第2の拠点として東京に、2003年に名古屋、2020年に大阪、京都、2022年には福岡にオフィスを設立しました。