金利上昇や地政学的緊張で ただし今後は回復する兆し
【参考資料】
(本資料は、2023年10月26日に米国で発表されたプレスリリースの抄訳です)
ボストン発、2023年10月26日 ―― 経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、「2023 M&A Report」(以下、レポート)を発表しました。20回目となる今回のM&Aレポートでは、1990年1月~2023年8月に公表された88万件以上のM&A案件のデータを蓄積したBCGのデータベースに基づいて分析しています。
2022年のグローバルM&A市場の取引総額は平均的水準に戻り、2023年も減少が続く
M&A取引量が急増したコロナ危機後の2021年から2022年初頭にかけての時期を経て、2022年途中からM&A市場は減速しています。2023年の年初から8月までのM&A市場は、案件数は前年比14%減少、取引総額ベースでは前年比41%減の約1兆1,800億ドルでした(図表)。レポートでは、金利上昇や地政学的緊張、景気後退への懸念がその背景にあると分析しています。
2022年の途中から続くM&A市場の低迷は各地域において顕著でした。インド、台湾、イタリア、ルーマニアはやや回復を示した一方で、米国、カナダ、フランス、ドイツはより大きな打撃を受けました。2022年に最も活発にM&Aが行われた業界は、エネルギー、電力、および資源業界でした。
また、特に強固な財務基盤を持つ大胆なディールメーカーのなかには、市場が活発だった2年前にはディールが難しかった「掘り出し物」を求めて、市場が低迷した状況をうまく利用した企業もありました。ESGや、AIを含むデジタル化に関する戦略的イニシアティブを追求するためにM&Aを活用した企業も多くありました。
2024年にはM&A市場は回復の兆し
資金調達コストの上昇や地政学的緊張、独占禁止法等の規制の変化など、M&A市場を取り巻く環境は引き続き厳しいものの、2023年に底を打ち、2024年に向けては回復する兆しを見せています。その要因は4つあります。
さらに、企業はESGとデジタル化の課題に向き合うためにM&Aを利用し続けると考えられます。成長分野での買収や、M&A・売却を通じた事業ポートフォリオの再編など、自社の変革を企図するトランスフォーメーション・ディールに集中する企業もあるでしょう。
レポートでは、6つの地域について今後の市場見通しの違いを掘り下げています。日本については、アジア太平洋の主要経済圏の中で2023年上半期に唯一、M&A案件数と取引総額が増加しており、低金利や株主からの圧力、経済成長の鈍化が、引き続きM&A市場を促進すると分析しています。
M&A成功に向けた10の必須要件――BCG M&Aレポート発刊20周年に寄せて
BCGのM&Aレポートが今年、20周年を迎えたことを機に、M&Aの成功に向けた要件をまとめました。「コンフォートゾーンの外に出る、ただし出すぎない」「タイミングを操れるようにする」「より多く支払う、ただしキャッシュで」など10の必須要件については、レポートをご参照ください。
レポートの共著者で、BCG東京オフィスでM&A分野を主導するマネージング・ディレクター&パートナー、横瀧 崇は、次のようにコメントしています。
「日本のM&A市場はグローバルとは異なり堅調に推移しています。グローバルが低調であることの影響もあり、日本企業による海外企業の買収は前年比で大きく増加し、コロナ禍による減少から回復を見せています。日本市場が成熟化し成長が鈍化するなか、さらなる海外ビジネスの拡大、新規事業の開発、コア事業のビジネスモデル転換等の経営アジェンダにM&Aが活用される機会はさらに増えていくでしょう。また、その成長原資を捻出するための事業売却も並行して行うことで、資本効率を高めた成長を実現していくことが求められます」
■ 調査レポート
「2023 M&A Report」
最新のM&Aレポートを含む全シリーズはこちらからご覧いただけます。
■ 日本における担当者
横瀧 崇 マネージング・ディレクター & パートナー
BCGコーポレートファイナンス&ストラテジーグループの日本共同リーダー。
早稲田大学第一文学部卒業。ソフトバンク株式会社、グローバルコンサルティングファームを経て現在に至る。約20年にわたりM&A、アライアンス関連の支援に携わってきた。
■ 本件に関するお問い合わせ
ボストン コンサルティング グループ マーケティング 小田切・福井
Tel: 03-6387-7000 / Fax: 03-6387-0333 / Mail: press.relations@bcg.com
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日本では、1966年に世界第2の拠点として東京に、2003年に名古屋、2020年に大阪、京都、2022年には福岡にオフィスを設立しました。