非金融資産との合計から負債を引いたネット資産は世界で477兆ドル
【参考資料】
(本資料は、2024年7月10日に米国で発表されたプレスリリースの抄訳です)
ボストン発、2024年7月10日 ―― 経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、2024 年版グローバルウェルス・レポート「Global Wealth Report 2024: The GenAI Era Unfolds」(以下、レポート)を発表しました。BCG では、家計資産の規模やウェルスマネジメント(富裕層向け運用サービス)業界の動向をまとめたレポートを毎年発表しており、今回は24 回目となります。
世界の家計金融資産は275兆ドル、日本の家計金融資産は15兆ドル
2023年の世界の家計金融資産は275兆ドルと推計され、前年比で約7%増加しました(図表)。15年ぶりに前年比減となった2022年から大幅な成長となりました。これは主に金融市場の回復によるものです。レポートでは、今後5年間で世界の金融資産は92兆ドル増加すると予想しています。日本の家計金融資産は4.2%増の15.4兆ドルでした。また、世界のネット資産(金融資産と不動産等の非金融資産の合計から負債を引いたもの)は4.3%増の477兆ドルでした。
金融資産の伸びを地域別に見ると、堅調な株式市場を背景に特に北米が急成長しました。2023年に新たに形成された金融資産の50%以上を北米が占めました。アジア太平洋(日本を除く)は中国の減速により5.1%増にとどまったものの、2028年には金融資産の増加額の30%近くを占めると予想しています。中国に加え、インドも世界の資産の拡大をけん引しています。
クロスボーダー・ウェルスのブッキングセンターとしてUAEが急成長
全世界のクロスボーダー・ウェルス(自国外に預ける資産)は前年比5.1%増の13兆ドルと、昨年以上の伸びを記録しました。クロスボーダー・ウェルスのブッキングセンターについて、著者らは次のように解説しています。
スイスを含め欧州のクロスボーダー・ブッキングセンターは、シンガポール、UAE、米国などに比べ成長ペースが鈍くなっています。その背景には、中東やアジアの資産が急増し、地理的分散に対する需要も高まっていることがあります。スイスは当面の間地位を維持すると予想されますが、5年後のトップをめぐっては、激しい競争が繰り広げられると著者らは推測しています。
将来のウェルスマネジメントのカギを握る生成AI
ウェルスマネジメント業界の手数料収入は大幅に低下しており、インフレや業務の非効率性、規制要件の強化によりコスト上昇に直面しています。このような中、カギとなるのが生成AIの活用です。金融機関に対するBCGの調査によると、ウェルスマネジメントを提供する企業やプライベートバンクなど約60の主要金融機関のうち85%が、生成AIが変革やディスラプション(創造的破壊)に向けた大きな力になると考えています。しかし、包括的かつ長期的な生成AI戦略と短期的な導入のためのロードマップを描けていない企業は82%にのぼります。
レポートの共著者でBCGチューリッヒ・オフィスのマネージング・ディレクター&パートナー、Michael Kahlichは「2023年に資産の拡大傾向は回復しましたが、ウェルスマネジメント業界には立ち止まっている余裕はありません。明確なデジタルトランスフォーメーション戦略を設定したうえで、生成AIを活用し、コストの管理や顧客体験の向上につなげるべきです」とコメントしています。
■ 調査レポート
「Global Wealth Report 2024: The GenAI Era Unfolds」
■ 日本における担当者
栗原 勝芳 マネージング・ディレクター & パートナー
BCGコーポレートファイナンス&ストラテジーグループ、保険グループの日本共同リーダー。金融グループのコアメンバー。
東京大学経済学部卒業。株式会社大和証券グループ本社、外資系コンサルティングファームを経て現在に至る。
■ 本件に関するお問い合わせ
ボストン コンサルティング グループ マーケティング 小川・中林・福井
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日本では、1966年に世界第2の拠点として東京に、2003年に名古屋、2020年に大阪、京都、2022年には福岡にオフィスを設立しました。