要因はキャリアアップの機会の不足、 企業はキャリアパスやリスキルの在り方の再考を
(本資料は米国で発表された報道資料の抄訳です)
ボストン発、2022年7月7日 ―― 経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、「デスクレスワーカー」(物理的に現場にいないと職務を遂行できない働き手)について調査した論考「Why Deskless Workers Are Leaving―and How to Win Them Back」(以下、論考)を発表しました。日本、米国、オーストラリア、フランス、ドイツ、インド、英国のデスクレスワーカー7,000人以上を対象に、退職の予定やその理由について質問しています。
6カ月後までに退職のおそれがあるデスクレスワーカーのうち、約3分の1はすでに退職を予定
「デスクレスワーカー」とは、建設、流通、製造、医療、小売、運輸業などで現場の仕事に従事する働き手を指し、全労働者の約75~80%を占めています。デスクワーク(オフィスでの仕事)に従事する20~25%とは異なり、デスクレスワーカーにはテレワークを組み合わせたハイブリッドワークという選択肢はありません。調査によると、雇用主は今後6カ月後までに自社のデスクレスワーカーの37%を失うリスクがある(「6カ月以内に退職する: 12%」「約6カ月は継続する: 13%」「決めていない: 12%」と答えた人の合計)ことが明らかになりました(図表1)。
デスクレスワーカーの退職リスクは、国別では日本、業界別では小売・サービス業が最も高い
調査結果は、世界的な人材不足の広がりによって、世界の労働市場やサプライチェーンにさらなる混乱が生じるおそれがあることを示唆しています。各国別に見ると調査対象の7カ国中、日本のデスクレスワーカーは退職リスクが最も高い(42%)ことが分かりました(図表2)。英国が41%と僅差で続き、ドイツと米国のデスクレスワーカーは退職リスクが最も低いことが明らかになりました。
業界別の調査では、小売・サービス業のデスクレスワーカーの退職リスクが41%と最も高く、産業財(36%)、金融サービス(35%)、公共サービス(33%)、医療(32%)、テクノロジー(32%)と続きました(図表3)。
要因のトップはキャリアアップの機会の不足
退職を決めた主な要因として、回答者の10人に4人以上(41%)が、「キャリアアップの機会の不足」を挙げました。続いて、30%が「給与」、28%が「働く場所と時間の柔軟性」、22%が「ワークライフバランスの向上」、15%が「現職に楽しさがない」と回答しています。各国別の調査でも、7カ国ともキャリアアップの機会の不足が最も多い退職理由でした(図表4)。
論考では、デスクレスワーカーの退職を回避するために、経営リーダーが実行するべきステップを提示しています。
論考の共著者でBCG東京オフィスのマネージング・ディレクター&パートナー、竹内達也は「調査対象国中、日本のデスクレスワーカーの退職リスクが最も高いことが明らかになりました。国内で労働人口の減少が進展するなか、デスクレスワーカーの採用、エンゲージメント、リテンションが一層重要な経営アジェンダとなりつつあります。さらに、デジタルトランスフォーメーションや若年層を中心としたキャリア観の変化は、日本企業に従来の発想を超えた取り組みを求めます。デスクレスワーカーの新たな役割の定義や、生産性向上による魅力的な報酬の実現、それらに付随するキャリアパスやリスキルの在り方などの再考を迫られるでしょう」とコメントしています。
■ 調査論考
「Why Deskless Workers Are Leaving―and How to Win Them Back」
■ 調査概要
■ 日本における担当者
竹内 達也 マネージング・ディレクター & パートナー
BCG組織・人材グループの日本リーダー、および金融グループのコアメンバー。
東京大学教養学部卒業。同大学大学院総合文化研究科修士。ドイツ銀行を経て現在に至る。
クリスチャン・ヴラッド パートナー
BCG組織・人材グループ、および産業財・自動車グループのコアメンバー。
ブカレスト大学外国語学部卒業。弘前大学大学院国際関係論修士。トヨタ自動車株式会社、日本アイ・ビー・エム株式会社などを経て現在に至る。
■ 本件に関するお問い合わせ
ボストン コンサルティング グループ マーケティング 直江・福井・天艸
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日本では、1966年に世界第2の拠点として東京に、2003年に名古屋、2020年に大阪、京都、2022年には福岡にオフィスを設立しました。