BCGX OpenSC Hero

より環境に優しいサプライチェーンを確保する。AIとブロックチェーンで確認

BCGとBCG XはWWF(世界自然保護基金)を支援して、食料の原産地における低炭素でサステナブルな生産を確認するプラットフォームであるOpenSCを立ち上げました。

世界の食料のサプライチェーンに起因する温室効果ガス排出量は排出量全体の3分の1を占め、その80%は原産地(例:農場、海)で発生しています。しかし、サプライチェーンが非常に広範にわたり分散しているため、食料一次産品の多くを調達する大手食品・飲料企業にとっては、年々、きわめて大きな課題となっています。

こうした企業がサプライチェーンのサステナビリティとネットゼロの目標を実現するために、世界有数の環境保全団体であるWWFはBCGおよびBCG Xのチームと協働して、原産地の生産者を確認し、インセンティブと報奨を与え、人類と地球のための変革を推進することができる新しいツールの作成をめざしました。

私たちは共同でOpenSC(オープン・サプライチェーンを指す)というテクノロジー・プラットフォームを立ち上げました。これは、低炭素や責任ある生産の申し立てを自動的かつ継続的に検証し、粒度の細かい変更不可能なデータで裏付けるよう設計されています。すでに複数の申し立て自動検証システムの実証済み開発事例につながっています。

最終消費者まですべての道筋にわたり製品を確認し追跡する2つの事例が実証され立ち上げられています。

  • 持続可能な区域でのみ漁業が行われたことを確認:OpenSCプラットフォームはすでにマゼランアイナメの世界の年間漁獲量の15%超に対して持続可能な漁獲区域でとられたことを確認し、その後のサプライチェーン全体にわたり追跡しています。
  • 小規模コーヒー農家への支払いを確認:この取り組みはネスプレッソとともに立ち上げられ、同社はOpenSCプラットフォームを用いて、コンゴ民主共和国南キブ州のAMKA協同組合の1,185の小規模農家からのコーヒー袋をすべて追跡することから始めました。このプラットフォームはまた、各農家が適切なネスプレッソ報奨金を確実に受け取れるようにするためにも使われました。現在、このプログラムは世界のネスプレッソの多くの調達地域に拡大展開されています。

サステナブルで倫理にかなった生産に関する具体的な申し立てを確認し、その上でサプライチェーン全体にわたって製品を追跡する能力は、企業が消費者(その製品をめぐるデジタル体験に巻き込むことを通じて)やサプライチェーン上のビジネスパートナー、投資家、規制機関にデータやストーリーを共有することも可能にします。OpenSCテクノロジー・プロダクトは商用化されており、さまざまな海産物やコーヒー農産物に広がっています。米、パーム油など効果の高い他の一次産品向けにも新たなプロダクトを開発中です。OpenSCのチームは世界各地の30人超の世界有数の人材により構成されています。

私たちの役割

OpenSCはWWFとの密なパートナーシップによる成果です。最初からBCGは事業戦略ディープテック気候変動&サステナビリティにわたる広範な組織能力を組み合わせてガイダンスを行うとともに、ブロックチェーンを基にしたベンチャーを設計し、構築し、立ち上げ、最終的に拡大展開しました。これにより、OpenSCはインパクト投資を手掛ける大手投資家から資金提供を受け、世界最大の食品・飲料企業であるネスレや、世界最大の海産物の複合企業のひとつであるマルハニチロの子会社のオーストラル・フィッシャリーズと協働することにつながりました。

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