『戦略にこそ「戦略」が必要だ』
「両利き」とは、複数の戦略アプローチを、同時に、あるいは連続的に適用する能力のことです。多くの企業が同時に複数のタイプの環境で事業を営んでいるため、この能力がますます重要になっています。両利きは、もう一つの戦略アプローチというわけではなく、5つの戦略アプローチの中のいくつかを組み合わせて使いこなす技です。両利きには、環境の多様性とダイナミズムに応じて、「分離」「切り替え」「自己最適化」「外部エコシステム」という4つの手法があります。
ほとんどの大企業は、多様な地域・商品カテゴリーにわたって、変化の速い複数の環境で事業を営んでいます。そして、これらの環境は多様な機能で支えられています。このような多様性をもった企業で、企業全体、あるいは、あらゆる時代にわたり、一つの戦略アプローチだけで対応することは不可能なため、両利きになることが求められています。
両利きの4つの手法のうち、どの手法が適しているかは、その企業が何種類の環境で事業を営んでいるか(多様性)、そして、それらの環境がどれくらいの頻度で変化するか(ダイナミズム)、により異なります。 「分離」では、事業部門・地域・機能などのユニットごとに異なる戦略アプローチをトップダウンで適用し、それぞれ独立した形で運営します。 「切り替え」は、全社のリソースを一つのプールとして管理し、状況により戦略アプローチを切り替えます。 「自己最適化」では、各ユニットが、最適な戦略アプローチを選択します。 「外部エコシステム」では、様々な戦略アプローチを外部に求め、必要な戦略アプローチに精通したパートナーとエコシステムを編成します。