ビジョナリー(ビジョン牽引型)戦略

『戦略にこそ「戦略」が必要だ』

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WHAT

ビジョナリー型戦略は、有望な機会をとらえ、実現に向けひたすら取り組むことにより、ある程度予測可能な、新たな産業をつくり出す(あるいは再創造する)場合に有効です。これができるのはまれですが、非常に効果的な戦略です。先駆者になることで、競合企業に先駆けて規模を獲得し、業界標準をおさえ、顧客の嗜好に影響をおよぼし、コスト面で有利なポジションを築き、市場全体の方向性を決定づけることができます。ビジョナリー型戦略は起業家がスタートアップ企業で用いる場合が多いですが、大企業にとってもこのアプローチを身につける必要性がますます高まっています。

WHEN

ビジョナリー型戦略は、新たに産業をつくり出す、あるいは既存の産業を再創造する機会がある場合――他社にはそうは見えなくても、その企業は、将来が予測でき環境をつくり変えることが可能だと考える場合――に用いられる戦略です。こうした状況が生じ得るのは、発生したばかりのメガトレンドに他社に先駆けて着目したときや、テクノロジーの進化により既存の産業を再形成する可能性が出てきたとき、自社の優勢な商品における顧客の未充足ニーズに新市場の可能性が潜んでいるとき、などです。

HOW

タイミングがきわめて重要です。ビジョナリー型戦略で成功する企業は、「機会の発生~新しいアイデアの認知・受容~既存企業の反応」における時間的ギャップをうまく活用して、構想をたて、新事業を立ち上げ、徹底的に実行します。まず、メガトレンドや新しいテクノロジー、顧客の未充足ニーズに目をつけて新たな事業機会を構想します。次に、その構想を実現する企業や商品を、他社に先駆けて立ち上げます。そして、ひたすら目標を追求しつつ、予期せぬ障害には柔軟に対応して乗り越えます。

Biology and Strategy: The Beaver
Beavers vividly exemplify the behavior of a visionary approach to strategy: they envisage a future environment and then invest and persist in building it, creating advantage for themselves.

Have you ever looked at a beaver’s dam in the middle of a river and thought: where on earth did that come from? Like visionary companies, beavers seem to have a plan before they place the first stick, and they certainly persist in shaping their environment, making large, singular bets in the “white space” of a pond or river and reaping large rewards. The dams keep the beaver’s pond accessible even if the surface freezes over—a necessary advantage because beavers don’t hibernate. Dams also flood the surrounding areas, giving their builders easy and safe access to food while keeping competitors and predators at a distance. Finally, the ponds serve as a means by which beavers signal danger to others by tapping their large, flat tails on the water.

関連出版物・論考

激変する今日の事業環境で大企業は、マーベリックス、つまり既存企業とは異なる考え方や行動をする小規模な企業から多くの示唆を得ることができます。

シェーピング

産業の発生段階など業界のルールを定義したり書き換えたりするチャンスがある場合に、シェーピング型戦略が有効です。